皆さんこんにちは。水島上等兵であります。
いや~夏休みも(ほぼ)半分終わってしまいましたね。夏休みいかがですか、みなさん?リア充してらっしゃいますか?
自分は前にも書きましたが、車校があったり、友達がいなかったり、先立つものがなかったり…(やっぱり先立つものはお金ですよ。働かないとアカンですね)で夏休みの半分をひたすら家でゴロゴロして消化してしまいました。
こんなこともあろうかと思って、夏休み前に図書館で大量に本を仕入れてきたので充実していないこともない(と信じたい)のですが、やっぱりせっかくの長期休暇、「書を捨てよ、街に出よう」ではありませんが、先週本を持ってちょっとした一人旅をしてきました。
前々からどうしても行きたかったんですよ、都電荒川線の旅に。
いまどき路面電車なんてそうそう走って無いじゃないですか。それで中学生のころからいちばん身近な路面電車である都電荒川線が気になっていたのです。
そしてさらに追い打ちをかけたのが堀江敏幸の小説『いつか王子駅で』。この小説は王子あたりの下町が舞台なのですが、都電荒川線が出てくるんですよ。しかも結構重要な舞台装置として。
「荒川の路面電車に惹かれたそもそもの理由が、むやみと持ちあげられる下町の魅力だの郷愁だのではなく、ひたすらそのアトラクションとしての面白さに由来していたことにも、罪の意識があったのだろうか。」(『いつか王子駅で』 p.21~p.22)
私はこの作者の小説が好きでかなり読んでいるのですが、この小説がブッチギリでマイフェイヴァリット・ワンです。中身は是非皆さんに御自分の目で確かめていただきたいのですが、まあ一言でいえば下町の人情と私、って感じですね。ほのぼのゆったり、まったりとしたそんな小説です。
というわけで思い立ったが吉日、とばかりに8月18日の昼過ぎにまずJRで高田馬場駅に向かいました。そこから早稲田大学西早稲田キャンパスのほうに歩いていきます。
いや~いいですね、高田馬場。こんなに古本屋さんが軒を連ねているとは!実は受験生時代にも何回かこの通りを通ったのですがその時は朝早くてお店はどこも閉まっていたのです。あとパチンコ屋と学生ローンの店も結構ありますね、さすが学生の街。ウィンドウショッピングは楽しかったのですがこの日は生憎のカンカン照り。本日のスタートである早稲田駅にたどり着くまでの2、30分は天国と地獄でした(笑)ペットボトルが2本消し飛びましたよ。
そんなこんなで早稲田大学のキャンパス横を通ってしばらく行くと…あっ、ありましたよ都電荒川線早稲田駅。
ちょうど良く電車もきました。前払い式のバスといっしょでどこまでいっても160円。ほんとにバスみたいです。大人気もなく一番前の席を確保(笑)ここからだと全景と運転席がよく見えるのです。
乗客は大部分がどうやら地元の方のよう。皆さん一番前に座って写真を撮りまくっていた不審者(私)をどう思ったのでしょう(笑)やがてチンチンと音がして軽いショックとともに電車が発車しました。さあ、都電荒川線の旅に出発です。
「早稲田の駅の、薄汚れた流しの窓にカネヨンの容器がのぞいていたりする駐在所を横目に出発し、面影橋から汚水の流れ込む神田川沿いを走って、この川の水を使っていないことを祈りたい製薬会社を左に見つつ急なカーヴを徐行するピットロードを抜けて明治通りと平行する専用軌道に入ると、荒川に住むまえこのあたりを徘徊していた時分、転入届の時期を逸して欠席裁判にかかり、罰金をくらったのであまりよい思い出のない出張所のある学習院下の坂道を千登世橋に向けてゆっくりのぼれば、雑司ヶ谷から東池袋の混雑を分け入って大塚に出る。」(『いつか王子駅で』 p.22)
ほんとにこんな感じです。ガタンガタンと結構揺れながら、通りの真ん中を突っ走っていくわけです。こんなに電車と車の距離が近い景色はなかなかないですね。私の地元の「江ノ電」も結構路面電車っぽい区間があるのですが、都電荒川線ほど長くはありません。ここまでで初めての景色に興奮しっぱなしでした。
そして「急なカーヴ」に差し掛かった時突然警笛が鳴って急にスピードが落ちました。何だろうと前方を見てみると、なんと!部活帰りと思しき女子中学生二人組が電車のすぐ前(1メートルくらい)をすり抜けていくでありませんか。これは危ない。カーヴのところはちょうど車道と横断歩道も重なっていたのでこういうことになったのですね。幸い徐行だけで済みましたが、渡り終えた後に彼女たちは運転席に向かって頭を下げていました。怯えたような顔をして…僕の所からは運転手さんの顔は見えなかったのですがいったいどんな表情をしていらっしゃったのでしょうか…優しそうな中年のおじさんだったので決して鬼のような形相はしてなかったとは思いますけど。彼女たちと運転手さんのみぞ知る、ってことで。
それからしばらくは専用軌道に入って進みます。専用軌道って言っても普段に慣れている身にとっては、車との距離が近く感じられて、違和感があります。
小さな(ほんとにバスの停留所レベルの駅です)駅をいくつか過ぎると、あっここが大塚駅ですね。
つづく
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