時々、無理がたたって体調を崩したとかでもなく、何か大きな用事があるからとかでもなく、突発的に大学を休むことがある。そういう時は大抵、その日に入っているコマのいずれにも出席せず、なんなら国立に行くこともない。(私の最寄駅は西武多摩湖線の一橋学園だ)
自分でもなんでそんなことをしてしまうのだろうと驚くが、なんとなくそうなってしまう。別に大学が嫌いなわけでもないのに。確かに興味のない授業に出席するのは面倒であるが、なにも全休する必要はないだろうと自分でも思う。でも、やってしまう。
そしてそういう日にはどこかへ出かけてみることが多い。八王子や立川や中野や吉祥寺や御茶ノ水といった中央線沿線をぷらぷらする。(交通費がかさむのが怖いので他の沿線に行くことは少ない)
まだ見ぬ東京の街の空気を吸いに行くとき、私のからだは「未知」に対する好奇心が体の奥底からふつふつと湧き上がるのを感じる。街の様々な場所を気のすむまで歩き、写真を撮り、目に焼き付ける。東京が持つ様々な顔を絶対楽しんでやると張り切るのである。
そして、訪れた街で散策を楽しんだ後、必ずその街の本屋やカフェに入る。この二種の店の客層は、その街の特性をうまく表していることが多いのだ。例えば御茶ノ水のスターバックスでは参考書を片手に熱心に問題を解いているたくさんの浪人生や大学生(と思しき集団)に、中野のブロードウェイの本屋では、非常にコアなテーマのサブカル雑誌が並ぶ棚の前が、立ち読みをする人で絶えずごったがえしている様子に出くわした。
カフェで真剣に参考書に向かっている浪人生を横目に私は色々と考える。「まさか一橋学園とかいう辺境の街(失礼)から来たとは思わんだろうな。はるばる用もなしに御茶ノ水までやってきたとは。この男は一体どこの大学を志望してるんだろう。さっき声をかけてた化粧の濃いかわいい風の女子はまさか浪人生なのか。化粧の濃い浪人生ってそんなにいるもんなのか。俺が浪人してた時はいなかった気がするぞ。駿台ってどんな感じなんだろう。」こんな下らないことを延々とやっている時間はとても楽しく、頭がフル稼働しているのが自分でもわかる。
街の空気をひとしきり味わった後は、その街の飯屋で昼食兼晩御飯を済ませ、後ろ髪をひかれつつ、満員電車で帰途につく。そして部屋に戻った後は足早に布団に入り、思い出を反芻しながらゆっくりと眠りに落ちていく。「明日は一限だ。休まないようにしなければ。」
あ、告知し忘れてましたけど、『No Title Book』、25日までです。HASCさんの「ヒトツマミ」にも取り上げられたんでぜひぜひえんのした訪れてみてください。よろしくおねがいします。
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